2020年から数年間世界中で猛威を振るった新型コロナウイルス。この新型コロナウイルスの感染拡大がもっとも問題となったタイミングでは、多くの企業が在宅ワークを導入しました。
この経験を機に、国内の企業でも在宅ワークを推奨する動きは高まっており、現状でも在宅ワークが可能な求人の数は増えています。
在宅ワークで働く場合、気になるのが収入面などの労働条件。この労働条件をよりよいものにするためには、資格の取得がおすすめです。
では、実際にどんな資格があると在宅ワークで有利になるのか。おすすめの資格を紹介していきましょう。
在宅ワークに有利な資格の特徴は?
在宅ワークの大きなメリットは通勤時間が必要ないということ。仮に片道1時間の通勤時間が必要な職場に勤務する場合、1日2時間は移動時間で消費していることになります。在宅ワークではこの移動時間が不要となり、その分自分のための時間を確保することができます。
もうひとつのメリットは、ほかの方の視線を気にしながら仕事をする必要がないため、集中して仕事ができるという点でしょう。職場でほかの同僚と一緒に仕事していると、どうしても同僚の視線や会話、動きなどが気になるもの。また、上司の視線や突然の指示などもあるため、仕事に集中するのが難しいケースがあります。
反面デメリットは、何か問題が起きた場合、すぐに同僚に相談するということができないという点。仕事において同僚の助けがないというのはかなりのデメリットですが、在宅ワークではこういったケースが増えることが想定されます。
在宅ワークで有利になる資格を選ぶ際は、こうしたデメリットを減らし、メリットを享受できるようになる資格を目指すのがおすすめ。
具体的には、基本的には与えられた業務に対して、自分一人で解決していくだけの知識やスキルが身につく資格がおすすめとなります。
在宅ワークの求人は数自体が少ないため、しっかり資格を取得し、自身のスキルや知識をアピールできるようにしておきましょう。
「看護師も在宅ワークができるの?」おすすめの仕事や在宅勤務のメリットを解説!|カイテク
在宅ワークに有利な資格7選
在宅ワークを基本と考えた場合、どんな資格を持っていると在宅ワークの仕事を見つけやすいかという点に重きを置いて、おすすめの資格を7個厳選してみました。
どの資格も比較的人気が高く、需要が高い資格となっており、仮に在宅ワークではなくても十分に活用できる資格となっています。
資格名称 | 資格の種類 | 受験資格 | 上位資格 | 必要な勉強時間 |
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社会保険労務士 | 国家資格 | アリ | ナシ | 800~1,000時間 |
行政書士 | 国家資格 | ナシ | ナシ | 1,000時間 |
日商簿記【2級】 | 民間資格 | ナシ | アリ | 400~500時間 |
ファイナンシャル・ プランニング技能士【2級】 | 国家資格 | アリ | アリ | 300時間 |
基本情報技術者 | 国家資格 | ナシ | アリ | 150~200時間 |
MOS【一般レベル】 | 民間資格 | ナシ | アリ | 50~80時間 |
ウェブデザイン技能士【2級】 | 国家資格 | アリ | アリ | 100時間 |
社会保険労務士
雇用者と労働者の間に起こる問題の解決に尽力できる、雇用や社会保険のエキスパートである社会保険労務士。この資格を持っていると、在宅ワークでの勤務が叶う可能性は高くなります。
社会保険労務士の資格を持つことでできる業務は、社員の給与計算や労働保険の事務処理など、経理や人事の業務が中心となります。
また、社会保険労務士は独立開業も可能な資格ですので、資格を取得して独立となれば、必然的に在宅ワークも可能ということになります。社会保険労務士の資格を持っていることで、文筆活動や相談業務などを行うことも可能となります。
取得難易度は高めな資格ですが、企業に勤務しながらでも、独立しても資格を活用できますので、おすすめの資格となります。
参考:資格・検定の窓口(社会保険労務士の難易度や合格率は?受験科目の特徴と勉強方法も解説)
行政書士
官公署に提出する書類の作成、及びその書類の提出代行などの独占業務を持つのが行政書士の資格。社会保険労務士と同様に独立開業が可能な資格となります。
独立可能というより、行政書士としての業務を行うには独立開業がほぼ条件となっていますので、行政書士資格を取得して独立することで在宅ワークを叶えることができます。
とはいえ、行政書士の資格を取得することは就職や転職にもプラスになります。行政書士資格を取得するには、民法をはじめとする豊富な法知識が必要です。こうした法知識は、各企業の法務部などで活用が可能。もちろん在宅ワークでの採用も可能ということになります。
また、行政書士試験も社会保険労務士試験同様に難関試験のひとつとなります。こうした難関資格に合格しているという実績は、「1人でコツコツ目標に向けて努力ができ、しかも結果を出すことができる人物」という印象を相手に与えます。
この特徴はそのまま在宅ワークに向いている特徴とも言えます。この点でも在宅ワークを目指す方にはおすすめの資格となります。
日商簿記

正式名称 | 日商簿記検定 |
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資格種類 | 公的資格 |
受験者数(2023年2月) | 簿記2級:12,033人 簿記3級:31,556人 |
合格者数(2023年2月) | 簿記2級:2,983人 簿記3級:11,516人 |
合格率(2023年2月) | 簿記2級:24.8% 簿記3級:36.5% |
日商簿記資格は民間資格でありながら、国家資格を凌ぐほどの知名度と有用性のある資格です。企業には不可欠な経理として必要な知識やスキルが身につく資格で、1~3級に分けられています。
実務で活用できるのは2級以上。受験資格もありませんので、これから取得を目指すという方は、いきなり2級に挑戦してもいいでしょう。
日商簿記2級に合格すると、商業簿記に加え工業簿記の知識も身につきますので、多くの企業で経理担当者として働けるようになります。
経理に仕事の中でも、請求書の発行や経費の精算などは在宅ワークでも対応可能。ただし、本格的な経理業務に関しては、在宅ワーク不可となるケースもありますので、どのような働き方になるのかはしっかりと調べてから応募するようにしましょう。
ファイナンシャル・プランニング技能士

正式名称 | ファイナンシャル・プランニング技能士 |
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資格種類 | 国家資格 |
受験者数(2023年1月) | FP2級 学科試験 29,466人 実技試験 23,994人 |
合格者数(2023年1月) | FP2級 学科試験 16,537人 実技試験 14,283人 |
合格率 | FP2級 学科試験56.12% 実技試験59.53% |
一般的に「ファイナンシャル・プランナー(FP)」と呼ばれる方はすべてこのFP資格の所有者となります。顧客の資産運用やライフプランニングの相談に乗り、的確なアドバイスを行う仕事であり、在宅ワークでも十分に活躍できる資格となります。
FP資格には1~3級があり、実務で活用できるのは2級以上。2級の試験には受験資格があり、実務経験があるかFP3級の資格を取得するなど、資格を満たす必要があります。実務経験がない方は、3級を取得してから2級を目指しましょう。
FP資格が活かせる業界は金融業界や不動産業界が中心。在宅ワークと言っても顧客対応をする場合は、当然ですが顧客の元を訪問するなどの必要はあります。
また、企業内で企業の経理財政の問題点をチェックし、問題改善に対する企画提案を行う業務などもあり、金融・不動産業界に限らず活躍できる資格となっています。
基本情報技術者

正式名称 | 基本情報技術者試験(FE) |
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資格種類 | 国家資格 |
受験者数(2023年度) | 89,473人 |
合格者数(2023年度) | 43,348人 |
合格率(2023年度) | 48.4% |
在宅ワークが比較的多い業界と言えばIT業界でしょう。そもそもITを活用している業界ですので、在宅ワークをしながらリモート会議などをフル活用し活動している企業が多くあります。
そんなIT業界への転職を目指す方におすすめしたいのが基本情報技術者試験です。基本情報技術者は情報処理技術者試験という国家資格の中の1つの区分。ITエンジニアなど、IT業界で働く方にとっては登竜門的な資格となり、IT系の仕事が未経験の方でも取得を目指せる資格となります。
基本情報技術者の上にはさらに上位の資格がありますので、基本情報技術者資格を取得してIT業界に転職し、そこで働きながら自分にあった上級資格を目指すというのも一つの方法です。
MOS

資格の種類 | 【一般レベル】 Microsoft Office Word 365&2019 Microsoft Office Excel 365&2019 Microsoft Office PowerPoint 365&2019 Microsoft Office Outlook 365&2019 【上級レベル】 Microsoft Office Word 365&2019 Microsoft Office Excel 365&2019 Microsoft Office Access 365&2019 |
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受験料(税込) | 一般レベル】 10,780円 【上級レベル】 12,980円 |
試験日程 | 全国一斉 毎月1回開催 随時受験もアリ |
合格率 | 非公開 |
MOSとは「マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト」の頭文字を取ったもの。仕事で使用する機会が多いWordやExcel、Power Pointなどを使いこなせることを証明する民間資格となります。
資格には一般レベルと上級レベルがあります。試験の受験者数や合格率といった細かな情報は開示されていませんが、一般レベルで約80%、上級レベルで約60%の合格率と言われています。
実務で活かすことを考えれば上級レベルが欲しいところですが、上級を取得したからと言って何かできることがあるという資格ではありませんので、まずは一般レベルの資格を取得し、オフィスのソフトは問題なく使えるという点をアピールするのがいいでしょう。
一般企業で在宅ワークと考えた場合PCの操作、オフィスソフトの操作なしでは考えられません。ほかの転職希望者とハッキリ差を見せるためにも、MOS資格は有効な資格といえます。
ウェブデザイン技能士

資格の種類 | 1~3級 |
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受検手数料(非課税) | 1級 学科 8,000円/実技 25,000円 2級 学科 7,000円/実技 16,000円 3級 学科 6,000円/実技 8,000円 ※25歳未満の雇用保険被保険者 2級実技 7,000円 3級実技 3,000円 |
試験日程 | 1級 年1回(学科 11月/実技 翌2月) 2級・3級 年4回(5・8・11・2月) |
受検資格 | 1級 実務経験7年以上・2級合格後実務経験2年以上など 2級 実務経験2年以上・大卒・3級取得など 3級 ナシ |
合格率 | 非公開 |
最近はWebデザインのスキル習得から資格取得まで、一気通貫でできるWebデザインスクールも存在します。
Movie Worksさんの「おすすめのWebデザインスクール7選ランキング」の記事がよくまとまっていたので、興味があれば参考にしてみてください。
在宅ワークQ&A
Q.在宅ワークのメリットは?
自分の時間が増えることが一番のメリット
最初にも少し触れましたが、在宅ワークで最大のメリットは通勤時間が無くなることです。通勤時間がなくなる分朝ゆっくり寝ていられますし、仕事が終わった後はすぐにプライベートの時間とすることができます。
また、ネット環境があれば基本どこでも仕事ができるというのもメリットのひとつ。急に出社しなければいけないという状況が発生しない仕事であれば、極端な話世界のどこにいてもネット環境さえあれば仕事は可能です。
世界のどこでも仕事ができるというのは極端ですが、例えば気分転換で近くのカフェで仕事をするということも可能。また、地方に住んでいながら都心部の会社に就職するということも可能になります。
自分らしい働き方ができ、さらに自分の時間を有効に使えるようになるというのが在宅ワークの大きなメリットとなります。
Q.在宅ワークのデメリットは?
求人数が少なく就職や転職が難しい
在宅ワークのデメリットはいくつか考えられます。仕事の面では、問題が発生したときに周りの助言や助力を得るのに時間がかかるという点がありますが、これから在宅ワークの仕事を探そうという方にとっての大きなデメリットは、そもそも求人数が少ないという点でしょう。
就職や転職のサイトには数多くの求人情報が載っていますが、そのなかで在宅ワークにこだわると一気に求人数が減ってしまいます。さらに自分が進みたい道の在宅ワークに限定すれば、より求人は限定的になるでしょう。
求人数が少ないということは、当然競争率も高いということ。在宅ワークにこだわることで、そもそも就職や転職が難しくなるというデメリットがあります。
そこでこの記事では資格を持っての就職・転職活動を推奨しています。競争率の高い仕事ほど、こうした資格の有無で最後に差がつく可能性は高く、資格を取得することで希望の職に就ける可能性は高まるでしょう。
Q.在宅ワークに資格は必要か?
在宅ワークをするというだけであれば資格は不要
在宅ワークにもいろいろな仕事があります。全ての仕事において資格の取得が必須かと聞かれればそんなことはありません。資格なしで在宅ワークをしている方も多数いらっしゃいます。
ただし、より好条件で働く、自分が希望している業界で働く、しかも在宅ワークを希望するといった場合、資格があった方がその仕事に就きやすいというのも事実。また、同じ仕事内容の在宅ワークをする際でも、資格があった方がより収入面で優遇されるのも間違いありません。
資格取得は必須ではないものの、これから在宅ワークでの就職・転職を目指すのであれば、資格を取得している方が有利になると考えましょう。
Q.在宅ワークで有利になる資格の選び方は?
自分がどの業界で働きたいか、どのように働きたいかで変わる
資格の選び方は在宅ワークであろうがなかろうが大きく変わりません。ポイントは「在宅ワーク」という点ではなく、「どのように働きたいか」という部分ですので、このポイントを重視して選びましょう。
勤務時間や休日など、より自分らしく自由に働きたいという方であれば、目指す資格は独立開業が視野に入る資格です。上で紹介した中では、行政書士や社会保険労務士、また実務経験を積めば、ウェブデザイン技能士もフリーランスが視野に入る資格です。
在宅ワークでかつ収入アップを目指すというのであれば、より多くの業務をこなせるようになる資格や、歩合給が期待できるような資格がいいでしょう。上で紹介した中では、やはり独立が可能な社会保険労使や行政書士、さらに歩合給のケースもあるFP資格などがあてはまるでしょう。
取得する資格を考える場合は、まずは自分がどの業界で働きたいか、どのように働きたいか、何を目的に取得するのかという点を重視し、その傾向に沿った資格を選ぶのがおすすめとなります。
単に在宅ワークをしやすそうだから取得するというのは、将来的に長く続かない可能性もあるためあまりおすすめできません。
まとめ
単純に在宅ワークをするだけというのであれば資格を取得する必要はありません。在宅ワークができる仕事、在宅ワークを認めている会社を探す方が手っ取り早いといえます。
ただし、資格を持たず始める在宅ワークの場合、よほどのスキルや経験がないと収入面ではまず期待ができません。また、在宅ワーク限定の求人はそこまで数が多くはありませんので、そもそも就職や転職自体難しいということにもなります。
より自由に働ける在宅ワークをし、しっかりと収入を確保したいのであれば、資格の取得がおすすめとなります。資格にはいろいろな種類があり、その中には在宅ワークに向いている資格も存在します。損な資格を狙ってみましょう。
これから在宅ワークの仕事目指して就職や転職を考えている方は、同時に自分がどんな仕事をしたいのか、どんな働き方をしたいのかをしっかりと考えておきましょう。しっかりと考えれば、その理想を叶えるために必要になる資格が見えてくると思います。そんな資格の取得を目指しましょう。
また、在宅ワークのために資格を取得するということは、資格取得自体は最終目標ではありません。在宅ワークを叶えるためのひとつの手段でしかありませんので、ここは間違えないように。
ひとつの手段である資格取得に多くの時間を割くのは得策ではありません。もちろん行政書士や社会保険労務士のような難関資格であれば、ある程度勉強時間が必要になるのは仕方ありません。しかし必要以上に勉強時間をかけないのがポイント。
勉強時間短縮を考えるのであれば、独学ではなく通信講座の活用なども視野に入れ、資格取得の計画を立てるといいでしょう。
参考:
在宅ワークで役立つ資格を分野別に徹底解説|お家でビジネス
在宅ワークにおすすめの資格27選!|500mails
【必見】フリーランスとして不動産業界で働くことは可能!メリット・デメリットを解説|WWBLOG